2017.1.27 コミュニケーションのメディアとして、手作りポスターの制作

「専門入門ゼミナール」(後藤先生)

 2016年度「専門入門ゼミナール」(担当:後藤)の11名の学生が、未来の新入生を“おもてなし”するポスターを制作しました。


【写真】 クラスの集合写真

社会学科の「専門入門ゼミナール」では、社会学科の学生として入学してきた1年次の学生を対象として、社会学の考え方、学び方、そしてその学問的な魅力について触れてもらうことを授業の目的としています。本クラスでは、その一環として、「メディア・リテラシー※」を題材に、グループディスカッションやグループワークを中心とした学習をおこないました。

  • リテラシーは「読み書き能力」のことで、メディア・リテラシーは、「メディアを理解したり、分析したり(=読む)、メディアで何かを伝えたり、表現する(=書く)能力をさします」(長谷川一・村田麻理子編, 2015, 『大学生のためのメディアリテラシー・トレーニング』, 三省堂, p.7)。

 

 今日、わたしたちの社会は、メディアとの関係をぬきに考えられなくなっています。日頃から、社会のあらゆる場所と時間で、多種多様なメディアにふれ、情報を得ています。また自分たち自身も、スマートフォンをはじめ、メディアをつかって情報を発信し、コミュニケーションをしています。
そんな身近で、だからこそ意識しづらい、メディアのしくみや、メディアによる情報の加工や取捨選択、そして自分への影響について“読む”ことを、テレビのニュース報道、バラエティー番組、CM、ドラマ、インターネット動画などの映像、新聞、雑誌、ネット記事などのテキストの具体例を取り上げつつ、学びました。また、メディアに対して受け身になるのではなく、それを能動的につかってコミュニケーションを図り、自分たちが伝えたい情報を、伝えたい相手に効果的に表現(=書く)にはどうすればよいか、スナップ写真の撮影やそれをつかったプレゼンテーションづくりなどをとおし、学びました。

 そうして学んだことのしあげとして、来年度あたらしく大学に入学してくる新入生――それは1年前の自分たちでもあります――を想定して、専修大学での学生生活になじんでもらうため、“おもてなし”する掲示物(ポスター)の制作にとりくみました。

【写真】グループワークの様子

 はじめにクラス全体で、ポスターで取り上げる内容について検討しました。「ポスターという『メディア』をつかって、新入生にどのような情報を伝えようか」、「大学やキャンパスに親しみをもってもらうには、どんな雰囲気にするか」、「在学性ならではの視点を活かすには、どうすればよいか」など、話し合いました。
 そうした検討の後、特集するテーマをおおきく2つ、生田キャンパスの見どころを紹介するマップと、広いキャンパスに点在する学生食堂、レストラン、カフェなどを紹介するグルメガイドに設定しました。またポスターは、あえて手描き、手作りで作ることにしました。そして、2つのグループに分かれ、それぞれでグループディスカッションをしながら、役割分担や、具体的な作業に取り組みました。
 ポスターに掲載する内容のため、学生たちはそれぞれ、自分たちで実際に足をはこんでしらべたり、写真をとったりして“生の情報”を集めました。そして、それをどうポスター上に表現すれば伝えやすいのか、レイアウトや飾りをどう工夫すれば足をとめて見てもらえるのか、メディア・リテラシーとして学んだ知識をいかす機会となりました。 
 最終的に、写真をのぞき、すべて手描きの字や図、手作りの飾りや写真でできた、親しみやすくかわいいイメージのポスターが完成しました。

【写真】完成したポスターといっしょに

 紙でできたポスターは、非常にアナログなメディアですが、デジタルにはだせない“手触り”、“手渡し”の感覚を与えるのかもしれません。授業で忙しい合間に、ほっこりするメディアとして機能することを願いつつ、掲示板に掲示しました。
 
 半年間の授業をとおして学生たちは、ディスカッションやグループワーク、各自が課された課題に、しっかりと取り組むことができました。メディア・リテラシーのための学びは、授業で完結するものではありませんが、本授業をきっかけに、これからも各自で深めて、今日のメディア社会を研究する視座、そして主体的に生きる力を身につけて欲しいと願います。

(文責:社会学科 後藤吉彦)